新潟県にある朝日酒造が手がける日本酒のブランドのひとつ、それが”久保田“です。
“久保田”の名前の由来は、会社の前身である「久保田屋」からとったもので、初心に戻り地元に根付いた酒を造ろうという気持ちを込めて日本酒「久保田」は誕生しました。
現在では久保田の名前を冠した色々なシリーズ商品が流通しています。
今回はそんな久保田の歴史と特徴をご紹介します。
【新潟】『久保田』”端麗辛口”の代名詞となった日本屈指の名酒!
Contents
『久保田』が生まれた歴史!
久保田が生まれたきっかけ!
久保田というと全国各地の酒屋や飲食店で見かけるメジャーな日本酒のひとつです。
その久保田が生まれたのは新潟県にある朝日酒造。
もともとは地元での酒販売をメインに手がける街の酒蔵でした。
しかし、1980年代頃からの日本酒人気低迷によって日本酒の出荷量は減少傾向を辿っていきます。
「朝日山」という普通酒(日本酒のランクでもっとも一般的なもの)を売っていた朝日酒造も地元で細々と販売を続けていましたが、どうにか出荷量を増やせないかと頭を悩ませていました。
そのとき、「原点に還る」という目標を掲げ新商品の開発に身を乗り出します。
これは当時において革新的な試みであり、相当なチャレンジでした。
困難を極めた酒造り!
地元・新潟の良さを最大限に活かし、それを日本酒に落とし込むという作業は困難を極めます。
新潟県産の酒米を使用し、水も新潟の軟水をつかって造り上げました。
そうして出来た日本酒は当時のトレンドとは異なる柔らかい味わいの辛口、実際に全国的に販売を試みようとするもやはり不安な要素もありました。
そこで当時の平澤社長は出来上がった日本酒の特徴を逆手に取り「淡麗辛口」というキャッチコピーを生み出します。
さらに、「原点に還る」という目標のもとラベルの変更も決定しました。
新しく使用するラベルには新潟の伝統工芸品の「手すき和紙」を選び、また地元の書家にデザインを頼むことになります。
そうして完成したのが現在の「久保田」で、1985年(昭和60年)に発売されることになりました。
→関連記事:『甲信越(新潟・山梨・長野)の日本酒の特徴!』
工夫されたラベルで一躍全国デビュー!
最初は地道に街の酒屋で販売していたものの、バブル景気の後押しもあり4~5年ほどで東京への販路が拡大され一気にその知名度を上げた久保田。
その要因は飲みやすさとラベルの高級感にありました。
現在においても珍しい和紙のラベルは非常に特徴的で、偶然にも「ちょっと飲んでみようかな」と目に付く商品となっていたのです。
また、その高級感から贈答用としての人気も重なり、こうして久保田は全国的にも有名なメジャー日本酒の仲間入りを果たしました。
『久保田』の特徴!
バリエーションの豊かさ!
久保田には色々な商品があり、それぞれ味わいや個性が違います。
そうしたバリエーションが豊富なところも久保田の魅力といえるでしょう。
新潟産の優れた酒米!
久保田に使用される米は自社で設立した「あさひ農研」が、地元の契約栽培農家やJAと共同開発した独自の酒米です。
それに地元・新潟産の優れた米をブレンドして商品は完成します。
こだわり抜いたボトルデザイン!
あくまで新潟という土地にこだわった姿勢はボトリングやデザインにも反映されています。
手すき和紙に描かれた「久保田」のロゴですが、かつてはすべて手作業でボトルに貼り付けていました。
そういったこだわりが商品のバリエーションにも表れていて、季節ごとに楽しめる日本酒や手法を変えた日本酒などいろいろな形で製品化されています。
『久保田』の種類!
久保田は、吟醸酒や大吟醸酒、さらに生原酒といったものまで幅広いラインナップが魅力のひとつです。
また、季節によって限定で製造されている希少なものまでありますのでぜひチェックしていってください!
○久保田 百寿
『久保田 百寿』は、香りの主張はあくまで控え目、辛口で飲み飽きない落ち着いた仕上がりを求めた「久保田シリーズ」の基本形です。
冷やせばスッキリと、温めればまろやかな味わいが楽しめます。
→『【新潟】『久保田 百寿』”端麗辛口”の原点と呼ばれる日本酒!』
○久保田 千寿
『久保田 千寿』は、「食事と楽しむ吟醸酒」を目標にして、穏やかな香りで飲みやすさを追求した日本酒です。
口当りはとても柔らかで、冷やして飲むのはもちろんのことお燗にも適した吟醸酒。
→『久保田 千寿』の価格と味わい!最上級の爽快感を誇る日本酒!
○久保田 紅寿
『久保田 紅寿』は、甘みと酸味のバランスがいい純米吟醸酒です。
ぬる燗にしても美味しくいただけます。
○久保田 碧寿
『久保田 碧寿』は、山廃酒母を使用しているため深い味わいを体験できら日本酒です。
ぬる燗がもっとも適しているとされ、その旨味の広がりをぜひ感じてみてください。
→『久保田 碧寿』の価格と特徴!日本が誇る伝統の純米大吟醸酒!
○久保田 翠寿
『久保田 翠寿』は、加熱殺菌を一切せずに生酒として出荷される大吟醸酒です。
4月~9月にかけての限定商品となっています。
瑞々しく繊細な口当りが特徴的で、華やかな香りと柔らかな味わいが楽しめます。
→『久保田 翠寿』の価格と特徴!久保田が誇る唯一の限定生酒!
○久保田 萬寿
『久保田 萬寿』は、久保田シリーズの最高峰であり、極限まで米を磨き上げた逸品です。
どんな食事にも合うオールマイティーな味わいは、料亭などでも人気の商品となっていて贈答用としても扱われています。
→『久保田 萬寿』の価格と味わい!久保田シリーズ最高峰の日本酒!
○久保田 雪峰
『久保田 雪峰(せっぽう)』は、四季の自然の中で楽しんでもらうということをコンセプトにして造られた久保田シリーズの新商品です。
山廃酒母を使用してバランスよく飲みやすい日本酒を目指しました。
個性的で野趣あふれるアウトドア料理にもよくマッチします。
季節やお好みに合わせた温度で楽しむことができ、冷やすとシャープな酸味とキレのある後味が、温めるとまろやかで個性的な香味が際立ちます。
○久保田 生原酒
『久保田 生原酒』は1月だけの限定商品、フレッシュで瑞々しい香りと味わいが特徴の名酒です。
絞りたての若い原酒はぜひ冷やして楽しんでください。
これらのほかにもいくつかの限定商品などが販売されています。
久保田の特徴は日本酒を飲みたいとき、シーンに合わせて色々と選ぶことができるという点です。
ぜひ飲み比べてみてその個性を確かめてみてください。
『久保田』のおすすめの飲み方!
シリーズによって飲み方が異なる!
久保田はシリーズの商品によって最適な飲み方が異なります。
冷やして飲むもよし、温めた燗酒で飲むもよし、と懐が深いところも非常に魅力的です。
たとえば碧寿はぬる燗以上がおすすめですし、反対に翠寿は冷やして飲むのがおすすめです。
食事と一緒に楽しめるものが多いので、場所を選ばず味わえる、というのも特徴のひとつに挙げられます。
→関連記事:『【シリーズ別】久保田のオススメの飲み方!』
ロック・炭酸割りでも楽しめるお酒!
久保田の商品ラインナップとしてはそのほとんどが精米比率50%以上ですので、飲み口がサッパリとしています。
そのため氷を入れてロックスタイルにすれば、日本酒が苦手な人でも不思議と抵抗なく飲むことができます。
実際に街の飲食店では氷を入れたり、炭酸で割ったものもメニューにあります。
こうすることで久保田がさらに飲みやすくなり、日本酒初心者にも受け入れやすくなっています。
久保田通だけが知っている!久保田の豆知識!
試行錯誤され続ける”ラベルデザイン”!
久保田のラベルは手作業で貼り付けていたという話を前述しましたが、現在はオリジナルのラベル貼り付け機を使用しています。
しかし、その貼り方については今でも試行錯誤が続けられていて「どういった形や位置がもっとも魅力的に見えるか」「新潟の良さが出せるか」というのを日々研究しています。
また近代化が進んだ今でも最終的にパッケージングをチェックするのは目視で行っているという徹底したブランド戦略が行き届いているのも久保田の特徴です。
現在、久保田に使われているロゴデザインは通算600枚にも及ぶ試作デザインから選ばれたものとなっています。
限定された特約店!
久保田は完成当初から取り扱う酒屋を限定して販売しています。
これは久保田の良さを理解してくれるところに卸したいという願いであり、その取り扱い店舗は「久保田会」という名前で呼ばれることもあります。
そうした取り組みが実を結び、久保田は優良の酒屋から全国の飲食店などへと出荷されていくようになりました。
日本で大人気の日本酒”久保田“。
ぜひとも一度味わってみてくださいね!
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